#5:齋藤さんと飲みに行く

2020.10.29
#5:齋藤さんと飲みに行く





 対談から数週間後、齋藤さんと飲みに行く。
 齋藤さんの行きつけのワインBAR。齋藤さんは食に興味がない。最後の晩餐もカップラーメンでいいと言っていたが、このワインBARは何を頼んでも美味しい店だった。勿論ワインも。
 齋藤さんの会社は働き方改革のIT企業でありながら、出版や映像、LINEスタンプやゲームも作っていると聞いた。
 「オレもそうゆうの作ったりしたいんですよ。今まで自分はお笑いにしかアイディアを落としてこなかった。商品の名前、例えばここにこれから発売したい水があったとして、いろはすみたいなネーミングを考える仕事や、ボケなしで文章を考えるコピーライターのような仕事をしてみたいんです」と話した。
  齋藤さんは「ウチで出来ますよ」と言った。
 「例えば、オレがそうゆう会議に出てアイディアを出してそれでギャラを貰うとゆうような仕事は出来ますか?」と改めて聞いてみたら
 「出来ると思いますよ」と齋藤さんは言った。
 そのあとはもうひとりゲストが来たので、仕事関係の話はそこで終わり、3人で楽しく美味しいワインを飲んだ。ちなみにワインに1番合うつまみはチーズと、気の利いたジョークだ。



 


 数日後、私が出演しているテレビ東京のゲーム番組『勇者ああああ』を観た齋藤さんからLINEが着た。
 二郎さんが「勇者ああああ」でプレゼンされていた「ですよ。を探せ」ってゆうゲーム。あれ本当に開発会社探してるのでしたら当社のゲームチームでやりたがっているのがいますが、と。
 やり取りの中で、
 「会議に出てその都度ギャラを貰うとゆう形で参加すればいいですか?」と聞いたら齋藤さんは言った「二郎さん、思い切ってウチの会社に就職してみませんか?芸能の方のお仕事がある時は休んで頂いて構いません。その分日割りで引かせてもらうのでウチにデメリットはありません」と。
 サラリーマンかぁ…。
 面白そうだな。
 芸人をやりながらサラリーマンもやる。
 タイガー&ドラゴンはヤクザをやりながら落語家をやる主人公のドラマだった。
 コンプライアンスで真面目に真面目に生きなきゃいけないこの世の中で、芸人をやりながらサラリーマンもやるって面白いな。
 人生初の就職。
 考えてみればオレが人生でやり残したことはあとサラリーマンだけだ。
 もう1度齋藤さんと会うことにした。





 錦糸町で韓国料理を食べ、BARへ。
 齋藤さんは食に興味がない反面、お酒は凄く好きでこだわりもある。ならば飯はとっとと切り上げてBARで美味しいお酒を飲んだ方がいいだろうと、予めBARが近い韓国料理店を選んでおいたのだ。
 齋藤さんは「二郎さん、本当にウチの会社に来ます?」
 「はい。宜しくお願いします」
 「一応、面接がありますので、近々会社に来て貰いますが、その前に軽く遊びに来て貰ってもいいですし」
 「分かりました。ただ、4月の第1週、アメリカに行ってるんですよ」
 「見ました。プロレスのツアーでフロリダに行かれるんですよね。ボクも参加しようかと思ったんですけど流石に入社式の日は休めないなぁと思いまして。ただ二郎さんはアメリカからリモートで入社式に参加してもらえばいいですよ。面白いじゃないですか!それも」
 齋藤さんは柔軟な社長だった。





 後日、齋藤さんが社長を務める株式会社ソノリテへ。オフィスは神田の紺屋町、上が高速道路、下が昭和通り通り沿いにあるビルにあった。
 会議室で何人かの社員の人を紹介され、齋藤さんの右腕の塩田さんとゆう女性の方も紹介された。塩田さんはオレと同世代。髪の毛はアニメの登場人物の様に青かった。





 数日後、
 養成所の頃、いくつかバイトした時に書いた依頼の履歴書を書いた。


 


 面接の日、履歴書を出すと塩田さんから「わざわざ手書きで書いて頂いて申し訳ありません」と言われた。
 履歴書をパソコンで記入して持っていく時代になっていることすら知らなかった。
 面接菅は齋藤社長と塩田さん。塩田さんは「本当にいいんですか?」と何度も自分や齋藤さんに聞いてきた。
 その日は面接後、齋藤さん、塩田さん、そして入社してからの私の先生になる宇留野さんと4人で飲みに行った。会社の近くの焼酎BAR。そこで4月からの就職に向けて話したり、普通に色々楽しく話して飲んだ。齋藤さんから入社前に顔合わせの機会を作って頂いた形だ。
 そして私は翌月4月から、カイザーサイトウこと、齋藤さんが社長を務めるIT企業、株式会社ソノリテに就職することになった。


#6に続く……